最高裁判所第二小法廷 昭和30(あ)2483 判決
主 文
本件上告を棄却する。
理 由
弁護人鍛治利一、同山岡重良の上告趣意第一点について
原判決は、協定落札者が自己の工事の実費に相当な利潤を加えた上、更に請負代
金の約五分に相当する談合金額を加算したものをもつて入札金額とすることにより、
入札施行者にとつて公正なる自由競争により到達すべかりし価格よりも不利益な価
格を形成することとなり、公正なる価格を害する目的の談合罪が成立するものと判
断しているのであつて、所論引用の判例と相反するところはない。
同第二点について
原判決は『「不正ノ利益ヲ得ル目的ヲ以テ」談合したというためには、入札者が
談合により利益を得ることを目的としていた(少くとも認識していた)こと並びに
その利益が不正なものであることを認識していたことを必要とするから、入札者が
談合の結果公正な価格が害せられるに至るであろうことを認識しながらその談合の
対価を授受する意思をもつてしたときは、いわゆる「不正ノ利益ヲ得ル目的」をも
つて談合したことになる』と説示した上で、第一審判決判示第二の(一)乃至(四)
の事実について、不正の利益を得る目的の談合罪が成立することを肯認したのであ
つて、むしろ所論引用の判例と同趣旨に出たものと認められ、これと相反する判断
をしているものではない。
同第三点について
所論は判例違反をいうけれども、単なる事実誤認の主張に外ならず刑訴四〇五条
の上告理由に当らない。
同第四点について
所論は達意をいうけれども、実質は単なる法令違反の主張に外ならず刑訴四〇五
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条の上告理由に当らない。
なお当裁判所の判例(「公正ナル価格」の意義に関しては昭和二九年(あ)四八
四号同三二年七月一九日第二小法廷判決、集一一巻七号一九六六頁、「不正ノ利益」
の意義に関しては昭和二九年(あ)六六八号同三二年七月一九日第二小法廷判決、
集一一巻七号一九七六頁、昭和二九年(あ)三一九八号同三二年一月二二日第三小
法廷判決、集一一巻一号五〇頁参照)によれば、第一審判決の各判示事実がそれぞ
れ刑法九六条ノ三第二項の罪にあたることは明白である。
よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
昭和三三年一月一〇日
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 小 谷 勝 重
裁判官 藤 田 八 郎
裁判官 河 村 大 助
裁判官 奥 野 健 一
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